Cafe Create Lab.代表の三瓶です。
「開業設計ノート」では、カフェ開業に役立つ情報をお届けしています。
前回までの記事で、「カフェのメニューは何種類がベストなのか?」「食材管理、最低限これだけやればOK」など、メニューまわりの話をしてきました。今回はその流れで、意外と多くの方が「なんとなく」で済ませてしまっている「コーヒーの基礎知識」についてお話しします。
カフェを開こうとする方でも、実は「コーヒーのことは詳しくない」という方は本当に多いです。
でも、これは決して恥ずかしいことではありません。大切なのは、開業前に「最低限これだけは知っておく」というラインを押さえておくことです。
カフェ開業を目指すなら、まずはこの3つを理解しておきましょう。
① 豆の「産地」と「焙煎度」で味が決まる
② コーヒーには「飲み頃」がある(焙煎したて=ベストではない)
③ 抽出は「レシピを決めて、同じように淹れる」
それぞれ、なぜ大事なのかを順番に見ていきましょう。
そもそも、なぜオーナーがコーヒーを知る必要があるのか
「コーヒーは仕入れるだけ」「バリスタに任せればいい」と考える方もいます。もちろんそれも一つの方法です。でも、実際にお店を続けていくと、「うちのコーヒーはどういう味なのか」を自分の言葉で説明できるかが、そのままお店の信頼につながっていきます。
お客様に「このコーヒー、どんな味ですか?」と聞かれて、「えっと…普通のコーヒーです」としか答えられないお店と、「浅めの焙煎で、少し果実のような酸味があるんですよ」と答えられるお店。どちらに「また来たい」と思ってもらえるかは、言うまでもありません。
① 豆の「産地」と「焙煎度」で味が決まる
まず押さえたいのが、コーヒーの味は主に「産地(豆の種類)」と「焙煎度」で大きく変わるということです。
産地でいえば、ざっくりと
中南米(ブラジル・コロンビアなど)…バランスが良く、飲みやすい
アフリカ(エチオピア・ケニアなど)…華やかで、果実のような酸味
アジア(インドネシアなど)…どっしりと重く、苦味やコクが強い
といった傾向があります。
そして焙煎度は、
浅煎り…酸味が強く、軽やか
中煎り…酸味と苦味のバランスが良い
深煎り…苦味・コクが強く、しっかりした味
と変化します。
最初から何十種類も覚える必要はありません。「自分のお店で出す豆が、どの産地で、どの焙煎度なのか」を説明できれば、それで十分スタートラインに立てます。
② コーヒーには「飲み頃」がある(焙煎したて=ベストではない)
「コーヒーは鮮度が命」とよく言われます。これは半分正しくて、半分は少し注意が必要です。というのも、焙煎したてがいちばんおいしい、というわけではないからです。
焙煎した直後の豆は、内部に二酸化炭素(ガス)を大量に含んでいます。このガスが抽出のときにお湯と粉が馴染むのを邪魔してしまうため、焙煎したての豆はむしろ本来の風味を出しにくい状態なんです。
そこで必要になるのが、「エイジング(ガス抜き)」=少し豆を寝かせる期間です。ガスがほどよく抜けることで味がまとまり、いちばんおいしい「飲み頃」を迎えます。
飲み頃の目安は、焙煎度やお店の考え方によって変わりますが、ざっくりと
深煎り…焙煎後およそ3~7日
中煎り…焙煎後およそ5~10日
浅煎り…焙煎後およそ1~2週間
あたりがひとつの目安です。お店によっては「焙煎から1~2週間寝かせたものを使う」と決めているところも珍しくありません。
そして大事なのは、その飲み頃のピークを過ぎると、今度は酸化によって少しずつ風味が落ちていくということ。つまりコーヒーには、「焙煎直後(ガスが多い)→飲み頃(ピーク)→味が落ちていく」という山なりの流れがあるわけです。
焙煎したては「まだ早い」ことがある(ガス抜き=エイジングが必要)
少し寝かせた「飲み頃」がいちばんおいしい
ピークを過ぎると、時間とともに風味は落ちていく
特に粉にした状態は酸化がとても早いので、「豆で仕入れて、淹れる直前に挽く」のが基本
だからこそ、前回お話しした食材管理と同じで、「飲み頃の豆を、こまめに使い切る」のがコーヒー豆でも鉄則です。安いからと大量に仕入れて、飲み頃を過ぎ、風味が落ちた豆で提供してしまうのは、いちばんもったいないパターンです。
お客様は「なんとなくおいしい/おいしくない」を敏感に感じ取ります。豆を「いちばんおいしい状態」で出すことは、そのままリピート率につながります。
③ 抽出は「レシピを決めて、同じように淹れる」だけ
「抽出」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、お店で大切なのは「毎回、同じ味を出せること」です。
そのために決めておくのは、
豆の量(何グラム使うか)
お湯の量と温度
抽出時間
この3つだけ。これを「お店のレシピ」として固定することで、誰が淹れても味がブレなくなります。
プロのバリスタのように極めていく世界もありますが、開業段階でまず必要なのは、「安定して同じおいしさを出す仕組み」です。ここでも前回までと同じで、完璧を目指すより、仕組みにして毎回くり返すことが大切です。
コーヒーの知識は「お店の世界観」をつくる
これまで多くのカフェ開業を支援してきて感じるのは、コーヒーを自分の言葉で語れるオーナーのお店ほど、ファンがつきやすいということです。
コーヒーの知識は、単なる豆知識ではありません。「うちはこういう味を、こういう想いで出しています」と語れることは、そのままお店のコンセプトや世界観になります。
そして、これは決して一朝一夕で完璧になるものではありません。だからこそ、まずは今回の3つの基礎から。お店をやりながら、少しずつ自分の「好きな味」「伝えたい味」を深めていけば大丈夫です。
まとめ:まずはこの3つから始めよう
最後に、カフェ開業前に知っておきたいコーヒーの基礎を整理します。
豆の「産地」と「焙煎度」で味が決まる(自店の豆を説明できるように)
コーヒーには「飲み頃」がある(焙煎したてより少し寝かせてから。ピークを過ぎると落ちるので、豆で仕入れ、こまめに使い切る)
抽出は「レシピを決めて、同じように淹れる」(味をブレさせない仕組み)
どれも、特別な資格や長い修行が必要なことではありません。「基礎を押さえて、お店をやりながら育てていく」のがいちばんの近道です。
コーヒーを自分の言葉で語れるようになると、お店の魅力は驚くほど伝わりやすくなります。
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