Cafe Create Lab.代表の三瓶です。
「開業設計ノート」では、カフェ開業に役立つ情報をお届けしています。
今回は、カフェ開業の資金調達で多くの方が利用する「日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資」について、通すためのコツと、落ちてしまう人の共通点をお話しします。
以前の記事で「自己資金は最低でも300万円程度」というお話をしましたが、実際にはその自己資金をもとに融資を受けて開業するケースがほとんどです。
つまり、融資を通せるかどうかが、そのまま開業できるかどうかを左右します。
創業融資は「運」で決まるものではありません。準備の質で、通過率も借りられる金額も大きく変わります。
なぜ公庫の創業融資なのか
カフェ開業では、民間の銀行よりもまず公庫の創業融資を検討することをおすすめしています。理由はシンプルで、
無担保・無保証人で借りられる制度がある
実績のない創業者にも比較的積極的に融資してくれる
金利が低く、返済期間も長めに組める
からです。
Cafe Create Lab.でこれまで支援してきた中でも、開業資金の柱は公庫の創業融資というケースがほとんどです。まずはここを通すことを、資金計画の中心に据えて考えていきます。
融資を通すための3つのコツ
① 自己資金は「貯めてきた履歴」で見せる
公庫が自己資金を重視するのは、金額そのものだけでなく、「計画的にお金を準備できる人か」を見ているからです。
コツコツ毎月積み立ててきた通帳の履歴は、それ自体が信用になります。逆に、直前に一気に入金されたお金は「見せ金」と見なされ、評価されにくくなります。自己資金は、開業を思い立った時点から通帳に足跡を残しておくことが大切です。
② 事業計画書は「数字の根拠」で語る
熱意だけでは融資は通りません。公庫が知りたいのは、「このお店は返済できるだけの利益を出せるのか」です。
席数×客単価×回転数から算出した売上根拠
原価率・固定費をふまえた損益分岐点
毎月いくら返済に回せるのかの返済計画
このあたりを、以前お話しした損益分岐点や月次PLの考え方を使って、具体的な数字で示せると一気に説得力が増します。
③ 面談は「経営者」として臨む
公庫では必ず面談があります。ここで見られているのは、事業計画を自分の言葉で説明できるかです。
計画書を誰かに作ってもらっただけで中身を理解していないと、面談ですぐに見抜かれます。数字の根拠、コンセプト、想定するお客様像を、自分の言葉で落ち着いて話せるように準備しておきましょう。
落ちる人の共通点
審査に通らない、あるいは希望額より大幅に減額されてしまう方には、いくつかの共通点があります。
① 自己資金が極端に少ない/見せ金
自己資金がほとんどないと、返済能力にも計画性にも不安を持たれます。前述の通り、直前にかき集めたお金もマイナス評価につながります。
② 事業計画が希望的観測だけ
「絶対に人気店になります」「SNSでバズらせます」といった根拠のない見込みは、むしろ信用を下げます。売上は必ず、席数・客単価・回転数の掛け算で説明できるようにしておきましょう。
③ 借入希望額の根拠が曖昧
「なんとなく1,000万円」ではなく、物件取得費・内装費・厨房機器・運転資金と、何にいくら使うのかを積み上げた金額であることが重要です。運転資金を軽視した計画も、開業後すぐの資金ショートを見抜かれて減額されやすくなります。
④ 経歴・準備が事業と結びついていない
飲食未経験でも融資は通ります。ただしその場合は、開業前の準備(研修、修行、資格、綿密な計画)で本気度を示す必要があります。準備の跡が何も見えないと、「思いつきでの開業」と判断されてしまいます。
事例紹介:減額から満額回答に変わったケース
以前ご相談いただいた、飲食未経験からカフェ開業を目指していた方の話です。
最初にご自身で作った計画書を拝見すると、売上は「月100万円は行けると思います」という一文だけ。自己資金は200万円で、希望額は1,000万円でした。このままでは、まず減額は避けられない状態でした。
そこで一緒に取り組んだのが、
15席・客単価1,200円・1日25人という具体的な売上根拠づくり
損益分岐点を計算し、返済負担を織り込んだ収支計画への修正
コンセプトと想定客層を、面談で自分の言葉で話せるようにする練習
この3つです。自己資金も、開業時期を3ヶ月後ろ倒しして280万円まで積み増しました。
結果、希望額900万円に対して満額回答。オーナーさんは「数字で語れるようになったら、面談官の反応が明らかに変わった」と話していました。
大切なのは、熱意を数字と準備に翻訳することです。
まとめ:融資は「準備した人」から通る
最後にまとめます。
公庫の創業融資は、カフェ開業の資金の柱になる
自己資金は「金額」より「貯めてきた履歴」が見られる
事業計画は、売上根拠・損益分岐点・返済計画を数字で示す
面談は、自分の言葉で語れるかがすべて
落ちる人の多くは「準備不足」であって、才能や運の問題ではない
つまり創業融資は、思いつきで挑む人には厳しく、準備した人には応えてくれる制度です。逆に言えば、正しく準備すれば未経験でも十分に道は開けます。
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