Cafe Create Lab.代表の三瓶です。
「開業設計ノート」では、カフェ開業に役立つ情報をお届けしています。
今回は、その先にある「カフェを開業してから最初の3ヶ月でやること」についてお話しします。
カフェは、オープン日を迎えるまでが本当に大変です。物件を決め、融資を受け、内装工事を進め、メニューを完成させる。だからこそ、オープンした瞬間に「やっと終わった」と感じてしまう方も少なくありません。
しかし、カフェ経営の本当のスタートはオープンしてからです。
開業後の最初の3ヶ月は、開業前に立てた計画が現実に合っているかを確認する「答え合わせの期間」です。
この3ヶ月で、感覚ではなく現場と数字を見ながらお店を整えられるかどうかが、その後の経営を大きく左右します。
なぜ「開業後3ヶ月」が大切なのか
オープン直後は、知人や友人、SNSで開業を知った方など、たくさんのお客様が来てくださることがあります。
いわゆる「ご祝儀来店」です。
初月の売上が想定以上になると、「このまま順調にいけそうだ」と思うかもしれません。しかし、ご祝儀来店はずっと続くわけではありません。1〜2ヶ月ほど経つと客足が落ち着き、そこから少しずつ、お店の本当の実力が見えてきます。
大切なのは、客足が落ち着いたときに慌てないことです。
売上が下がったからといって、すぐに値下げをしたり、メニューを増やしたりするのではなく、「何が起きているのか」を一つずつ確認する必要があります。
そのために、最初の3ヶ月を1ヶ月ごとに分けて考えてみましょう。
1ヶ月目|売上よりも、営業を安定させる
オープンして最初の1ヶ月は、売上を最大化することよりも、毎日の営業を安定させることを優先してください。
実際に営業を始めると、開業前のシミュレーションでは気づかなかった問題が必ず出てきます。
注文が重なると提供が遅れる
会計とドリンク作りが同時にできない
仕込みの量が多すぎる、または足りない
洗い物が営業中に追いつかない
お客様の動線とスタッフの動線がぶつかる
こうした問題は、準備不足だから起きるというより、実際に営業しなければ分からないことです。
だからこそ、1ヶ月目は「うまくできない」と落ち込むのではなく、問題を見つける期間だと考えてください。
特に確認したいのは、次の4つです。
注文から提供まで何分かかっているか
どの時間帯に注文が集中するか
どの食材が余り、どの食材が足りなくなるか
お客様から何を聞かれることが多いか
例えば、「おすすめはどれですか?」と何度も聞かれるのであれば、看板メニューが十分に伝わっていない可能性があります。「この席は使っていいですか?」と聞かれることが多ければ、店内表示や案内方法を見直す必要があります。
お客様の質問や行動は、お店を改善するためのヒントです。
まずは毎日の営業後に、気づいたことを3つだけメモしてください。すべてを一度に直そうとせず、翌日は一つだけ改善する。その積み重ねで、営業は少しずつ安定していきます。
2ヶ月目|感覚ではなく、数字を見て改善する
営業に少し慣れてきた2ヶ月目からは、数字を確認します。
最低限、見てほしいのは次の項目です。
日商
客数
客単価
原価率
曜日・時間帯別の売上
食材の廃棄量
ここで大切なのは、売上だけを見ないことです。
例えば日商が3万円だったとしても、客数30人で客単価1,000円なのか、客数20人で客単価1,500円なのかでは、次に取るべき対策が変わります。
客数が少ないのであれば、お店の認知や来店理由を見直す必要があります。客数は来ているのに売上が伸びないのであれば、セット提案や追加注文など、客単価を上げる方法を考えます。
また、曜日や時間帯ごとに数字を見ることも重要です。
「平日の14時以降が弱い」「土日は満席になるが、提供が追いつかない」「雨の日は来店が大きく減る」など、数字を分けて見ることで、お店の課題が具体的になります。
売上が足りないと感じたときに、すぐ「もっと集客しなければ」と考える方は多いです。しかし実際には、
原価の高いメニューに注文が偏っている
食材ロスが多い
セット注文が少ない
営業時間とお客様の動く時間が合っていない
といった原因で利益が残っていないこともあります。
以前の記事でもお伝えしたように、カフェ経営では「いくら売れたか」ではなく「いくら残ったか」を見ることが大切です。
2ヶ月目は、開業前に作った月次PLと実際の数字を比べて、ズレを確認してください。計画と違っていても問題ありません。違いが分かれば、修正できます。
3ヶ月目|新規集客より、リピーターを増やす
3ヶ月目に入ると、ご祝儀来店はかなり落ち着いてきます。
ここから大切になるのが、一度来てくださったお客様に、もう一度来てもらうことです。
個人カフェは、毎月新しいお客様だけを集め続けるのではなく、近隣のお客様やお店に共感してくださる方に繰り返し来ていただくことで安定します。
リピーターを増やすために、派手なキャンペーンは必要ありません。
まず確認したいのは、次のような基本的な部分です。
看板メニューが一目で分かるか
また食べたい、飲みたいと思える商品があるか
接客や店内の過ごしやすさにストレスがないか
次回来店する理由があるか
InstagramやLINEで営業情報を継続して届けられているか
例えば、季節ごとに小さなメニューの変化がある、店主との会話が心地よい、ひとりでも入りやすい、仕事の合間に短時間で利用できる。こうした「また来る理由」がお店の中にあるかを見直します。
ここで大切なのは、値引きで再来店を促すことではありません。
安いから来てもらうのではなく、「このお店で過ごす時間が好きだから、また来たい」と思ってもらうこと。以前の記事でもお話ししたように、個人カフェが提供しているのは商品だけではなく、そこで過ごす時間や体験です。
3ヶ月目は、その体験がお客様にきちんと伝わっているかを確認する時期です。
開業後によくある3つの失敗
開業後、思ったように売上が伸びないと不安になります。そのときに、焦って次のような判断をしてしまうケースがあります。
① メニューを増やす
「お客様に選択肢が少ないと思われているのでは」と考え、メニューを増やしてしまうパターンです。
しかし、メニューを増やすと仕込みや在庫管理が複雑になり、提供スピードも落ちやすくなります。まずは今あるメニューの中で、何が売れていて、何が選ばれていないのかを確認してください。
必要なのは品数ではなく、選ばれる理由が伝わることかもしれません。
② すぐに値下げする
お客様が少ない理由を価格だと決めつけ、値下げをしてしまうケースもあります。
一度下げた価格を元に戻すのは簡単ではありません。値下げをする前に、商品の魅力、見せ方、ターゲット、体験が価格に見合っているかを見直す必要があります。
価格ではなく、価値が伝わっていない可能性もあります。
③ SNSだけの問題だと考える
売上が伸びないと、「もっとInstagramを頑張らなければ」と考えがちです。
もちろん発信は大切です。ただし、SNSでたくさんの人に知ってもらっても、来店後の体験が弱ければリピーターにはつながりません。
集客だけでなく、メニュー、接客、提供時間、居心地、価格を含めて、お店全体を見ることが大切です。
ご祝儀来店が終わってから、本当のお店づくりが始まる
オープン直後にたくさんのお客様が来てくださることは、とてもありがたいことです。
ただ、開業支援をしていて感じるのは、オープン直後の売上だけでは、そのお店が長く続くかどうかは分からないということです。
本当のお店づくりが始まるのは、ご祝儀来店が落ち着いてからです。
お客様が少ない日に何を見直すか。忙しい日にどこを改善するか。一度来てくださった方に、どうすればまた来てもらえるか。
この小さな改善を続けられるお店が、少しずつ地域に根づいていきます。
開業前に作った計画は、正解ではありません。現場で確認するための仮説です。
だから、計画と現実が違っていても失敗ではありません。大切なのは、違いを見つけて、数字とお客様の反応を見ながら修正していくことです。
カフェは、完成した状態でオープンするものではありません。営業しながら、お客様と一緒に育てていくものだと私は考えています。
まとめ:最初の3ヶ月は「答え合わせ」をする
最後に、開業後3ヶ月でやることを整理します。
1ヶ月目:提供時間・仕込み・動線を見直し、営業を安定させる
2ヶ月目:日商・客数・客単価・原価率を確認し、数字で改善する
3ヶ月目:お客様がまた来たくなる理由をつくり、リピーターを増やす
そして、客足が落ち着いても、焦ってメニューを増やしたり、値下げをしたりしないこと。
最初の3ヶ月は、成功か失敗かを決める期間ではありません。自分のお店に合った経営の形を見つける期間です。
オープンをゴールにせず、その後の改善まで見据えて準備しておくことが、長く続くカフェにつながります。
カフェ開業を考えているけれど、
「オープン後に何をすればいいのか分からない」
「売上が落ちたときにどう改善すればいいのか不安」
という方も多いと思います。
Cafe Create Lab.では、コンセプト設計や開業準備だけでなく、オープン後の運営や数字の改善まで一緒にサポートしています。
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