Cafe Create Lab.代表の三瓶です。
「開業設計ノート」では、カフェ開業に役立つ情報をお届けしています。
今回は、「常連が生まれるカフェと、一見客で終わるカフェの違い」についてお話しします。
初めてのお客様は来てくださる。商品も「おいしかった」と言ってもらえる。それなのに、なかなか次の来店につながらない。
そんなとき、「もっとSNSを頑張らないと」「スタンプカードを作った方がいいのかな」と考える方もいると思います。
結論からお伝えすると、常連づくりで大切なのは、お客様と仲良くなることだけではありません。その方の日常の中に、繰り返し利用したくなる理由をつくることです。
前回の記事では、Google・LINE・紹介を組み合わせた集客の流れをお話ししました。今回はその先にある、「来てくださったお客様に、もう一度選んでもらうためのお店づくり」を考えていきます。
「おいしかった」と「また行こう」の間には、違いがある
お客様に「おいしかった」と言っていただけるのは、とてもうれしいことです。ただ、その感想だけで次の来店が決まるわけではありません。
例えば、旅行先で食べたケーキがおいしくても、毎月そのお店に通うのは難しいですよね。近所のお店でも、営業時間が自分の生活と合わなければ、利用する機会は限られます。
また、「一度食べてみたかった」という目的で来たお客様は、その一回で満足されることもあります。それは必ずしも、お店に問題があるということではありません。
考えたいのは、「このお店を、次はどんな場面で利用してもらえるか」です。
・仕事の合間に、落ち着いて昼食をとりたいとき
・休日の朝、一人でゆっくりしたいとき
・買い物帰りに、少し休みたいとき
・友人と安心して話せる場所がほしいとき
こうした場面とお店が結びつくと、「カフェに行こう」ではなく「あのお店に行こう」という選択につながります。
常連づくりは、来店回数を増やす仕掛けだけで考えるのではなく、お客様の生活の中に、お店の出番をつくることから考えてみてください。
① 商品は「一度試したい」だけでなく「また頼みたい」をつくる
見た目に特徴のある商品や、話題になりやすいメニューは、新しいお客様が来るきっかけになります。
ただ、話題性と繰り返し注文したくなることは、必ずしも同じではありません。
写真を撮りたくなる大きなパフェも魅力的ですが、毎週食べたいものとは違うかもしれません。一方で、いつものコーヒーや、昼食にちょうどいいランチが、お客様の習慣になることもあります。
例えば、次のような使い分けです。
・初めて来るきっかけになる、特徴のあるスイーツ
・普段使いできる、飲み慣れたコーヒー
・仕事の日にも選びやすい、量と価格のランチ
すべてを新しくする必要はありません。まずは今ある商品の中で、「もう一度これを頼みたい」と思ってもらえるものは何かを確認しましょう。
そして、その商品は味だけでなく、量、価格、提供時間まで含めて利用しやすいでしょうか。
季節のメニューを楽しみに来る方もいれば、「いつもの商品があるから安心して来られる」という方もいます。変化をつくることと、変えない安心感を残すこと。その両方が大切です。
② 接客は、距離を縮めるより「ちょうどいい距離」を見つける
常連づくりというと、名前を覚えたり、積極的に会話をしたりすることをイメージするかもしれません。
もちろん、それを喜んでくださるお客様もいます。ただし、すべての方が店主との会話を求めているわけではありません。
・店主と話すことを楽しみに来る方
・一人で静かに過ごしたい方
・友人との会話に集中したい方
・短い休憩時間で利用したい方
同じお客様でも、その日の気分や目的によって、求める接客は変わります。
例えば、本を読んでいる方に何度も声をかけると、親切のつもりでも落ち着かない時間にしてしまうかもしれません。反対に、商品について聞きたそうにしている方には、一言の案内が安心につながります。
よい接客は、たくさん話すことではなく、お客様が心地よく利用できるようにすることです。
好みを覚えていても、毎回同じ注文を決めつけない。会話が弾んでも、ほかのお客様への対応を止めない。こうした小さな配慮が、「また来ても大丈夫」という安心感になります。
③ 居心地は、内装だけでは決まらない
おしゃれな内装や家具は、お店の魅力の一つです。しかし、繰り返し利用するかどうかは、見た目だけで決まるものではありません。
例えば、一人で利用したいお客様にとっては、
・どこに座ればいいか分かる
・一人でも気兼ねなく注文できる
・荷物を置く場所がある
・周囲の会話や音が気になりすぎない
といったことが、過ごしやすさにつながります。
昼休みに利用する方なら、椅子のデザインよりも、注文から提供までの時間や会計のスムーズさが重要かもしれません。
つまり、居心地とは、そのお客様の利用目的に合っていることです。
誰にでも合うお店を目指す必要はありません。ただし、「誰のためのお店か」と、実際の営業がずれていないかは確認してください。
静かに過ごせるお店を目指しているのに、店主と常連の会話が店内全体に響いている。短時間でランチを食べられるお店なのに、注文のたびに提供時間が大きく変わる。そうしたズレを減らすことが、次の来店につながります。
④ 常連を大切にすることと、内輪のお店にすることは違う
常連のお客様が増えると、店内に親しい空気が生まれます。それは個人カフェの魅力でもあります。
一方で、初めて来たお客様が「自分は場違いなのかな」と感じる状態には注意が必要です。
・入店しても、店主と常連の会話が続いている
・初めての人には分からない話題で盛り上がっている
・席や注文のルールが、知っている人にしか伝わらない
・常連への対応が優先され、ほかのお客様が待っている
こうした場面では、商品がおいしくても、次は別のお店を選ばれるかもしれません。
大切なのは、常連のお客様への親しさをなくすことではなく、初めての方にも、同じように安心して利用してもらうことです。
入店時には一度会話を止めて挨拶する。利用方法を分かりやすく案内する。特定のお客様との会話に集中しすぎない。
常連がいるお店と、新しいお客様が入りづらいお店は、同じではありません。どちらのお客様にも居場所があるかを、店主自身が意識しておきましょう。
⑤ 「また来たい」を思い出してもらうきっかけをつくる
商品や体験が整ったら、次はお店を思い出してもらう接点をつくります。
ここでLINEやInstagram、店内の案内が役立ちます。
例えば、
・来月の営業日を知らせる
・季節のメニューが始まる時期を伝える
・いつもの焼き菓子の楽しみ方を紹介する
・週末の朝営業やイベントを案内する
などです。
「また来てください」だけでなく、「次に利用できる場面」を伝えると、お客様は自分の予定と結びつけて考えやすくなります。
ただし、毎回割引を用意する必要はありません。安さだけを来店理由にしてしまうと、通常価格での利用につながりにくくなることがあります。
スタンプカードなどを使う場合も、それ自体を常連づくりの中心にするのではなく、もともと利用したいお店に、もう一度足を運ぶ後押しとして考えましょう。
先に整えるべきなのは、来店後の体験です。配信を増やしても、提供の遅さや過ごしづらさが変わらなければ、根本的な改善にはなりません。
まずは「また来てくださった方」を見てみる
常連づくりを考えるとき、来なくなった方の理由ばかりを想像すると、答えが出なくなります。
まずは、もう一度来てくださった方に目を向けてみてください。
・どの曜日、時間帯に利用しているか
・何を注文しているか
・一人で来るのか、誰かと来るのか
・どのくらいの時間を過ごしているか
会話の機会があれば、「どんなときに利用されていますか?」「いつもの注文は決まっていますか?」と、自然に聞いてみるのも一つの方法です。無理に聞き出す必要はありません。
例えば、コーヒーが看板のお店でも、実際には「昼休みに落ち着いて食事ができるから」という理由で通っている方がいるかもしれません。
そう分かれば、毎回新しいドリンクを開発するより、ランチの提供時間を安定させる方が、そのお客様にとって価値のある改善になります。
自分が売りにしたいことだけでなく、実際に選ばれている理由を見る。 そのうえで、お店のコンセプトに合う強みを育てていきましょう。
まとめ:常連づくりは、もう一度選ばれる理由を整えること
最後に整理します。
・「おいしかった」の先に、次に利用する場面を考える
・話題性だけでなく、繰り返し頼みたくなる商品を整える
・会話の多さより、お客様に合った接客の距離感を大切にする
・利用目的に合った居心地と、安定した営業をつくる
・常連との親しさが、新しいお客様の入りづらさになっていないか確認する
・LINEなどで、次回来店のきっかけを届ける
・実際に通ってくださる方の行動から、選ばれる理由を知る
常連づくりは、特別扱いを増やすことでも、値引きを続けることでもありません。
私は、お客様が「今日もあのお店にしよう」と、無理なく選べる状態をつくることが大切だと考えています。
新しいお客様に来てもらう取り組みと、来てくださった方がもう一度利用したくなるお店づくり。その両方を積み重ねることが、長く続くカフェにつながります。
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